ここでは、テキストマイニングツールを導入し活用している行政・自治体の事例を紹介。ツール導入前の課題、ツールの活用方法、ツール導入後の変化について照会しているのでぜひご参考になさってください。
名古屋市役所のコールセンターでは、市民から年間およそ5万件の電話による問い合わせがあり、問い合わせデータが大量に蓄積されていました。 蓄積された問い合わせデータは市民による生の声であり、なんとか市政に反映できないものかと考えましたが、1件ずつ人間が見るのは時間的に不可能であるという課題に直面。
今後も増え続けるであろう、問い合わせデータを効率的に分析できる方法がないものかと検討し、テキストマイニングツールを導入してみることにしました。
大量のテキストデータは、分類することによってわかりやすくなるため、データの分析はまず、テキストを仕分けするところから始めます。 同市役所のケースでも、まず5万件のテキストデータを分類することから始めました。大まかな流れは以下の通り。
このアプローチでは、AIがほとんどの処理を行い、人間は確認するだけ。そのため、迅速な分析ができるだけでなく、人間のバイアスが入らないのが特徴。未知の課題が見つかる可能性があるというメリットもあります。
最初の分析で5万件の問い合わせを「法律相談」「福祉」「敬老パス」などの項目に分割。さらに項目ごとに、詳細化して分析をしていきました。 例えば、敬老パスの項目について詳細に分析していくと、最終的に、「敬老パスの更新」という項目では一体どのくらいの困りごとがあるのかが分かります。
このように分析する対象を絞り、どんどん深く分析していくことで、より具体的な困りごとが可視化され、改善策を検討しやすくなりました。
自社のビジネスで、より戦略的に顧客の声を活用していきたいのなら、分析機能が豊富で、結果につなげやすい有料のテキストマイニングツールもぜひチェックしてみましょう。
以下のページでは、おすすめのテキストマイニングツールを「コスパ」「教育」「知名度」の3つの軸で比較。おすすめの3つを紹介しています。
相模原市が策定した経営指針「都市経営ビジョン」を推進するために、同市役所では市民からコールセンターに寄せられる声を分析しニーズを検証。 「市民満足度の高い都市」を目指すCRM(Customer Relationship Management)構想が定義されました。
そこで、毎日コールセンターのオペレータが電話応対履歴をエクセルシートに記入。10日に一回、庁内で使っているグループウェアに掲載しましたが、 市民の声は10日で約3,000件もあり、見るのが大変。また、それをどう次のステップに活かすか、という問題や、全体的な傾向がわからない、細かい気付きができない、という課題もありました。
応対履歴を効率よく分析できるテキストマイニングツールを導入してみては?という流れになったものの、まず庁内にテキストマイニングやCRMを浸透させることが先決であると判断。 数社に依頼して、実際にデモを見ながら履歴分析システム、CRM、テキストマイニングについて説明してもらいました。 ツールを導入してからは、これまで各担当課にバラバラに届き、全体が見えなかった声をすべて入れられる「市民の声システム」という仕組みを構築。 コールセンターへの問い合わせメール、各課への問い合わせメールなどを一括して分析し、全体を把握することで、庁議資料として提案できるようになりました。
テキストマイニングツールを導入することによって、効率よく応対履歴を分析でき、市民の声も上層部まで届けられるようになりました。 最終的には、政策に反映することで、業務改善に繋がるように整えて行こうと考えています。
市民の声に沿った政策を行う流れをつくり、市民が納得感を得て、より満足度の高い都市を目指していきたいです。今後は少しステップアップし、全件マッチングを行うFAQ作りに活用してみたいです。
テキストマイニングツールをコールセンターで導入した事例を見る
河野元大臣が開設した、行政改革目安箱(縦割り110番)。多くの国民からの関心が寄せられ、開設後たった1日で4,000件以上の意見が集積。受付を中止してしまうほどでした。 縦割り110番とは、行政の縦割り弊害について国民の意見を募るために、同大臣自らが個人HPに設けたもの。 当時は休みを返上して、1日目4,000件もの声に目を通そうとしていたそうですが、人間の目で内容を確認するのは1日数100件が限界という報告もあり即断念。 株式会社レトリバではこれまで、自然言語処理AIで分析した別件の例もあったため、今回もサポートすることになりました。
まず、開設1日目の約4,000件について分析を行うことになり、その場でテキストマイニングツールを使ってデータを加工し、分析を実施しました。 分析にかかった時間は4分ほどで、最初に話題別50カテゴリに分け、意見の種類を俯瞰的に見えるように。
それをもとに、どのようなカテゴリに分けて、寄せられた意見を分析したらいいのか大臣と相談し、最終的に30のカテゴリに分割し、分析を行いました。 最も多かったのはマイナンバー関連で全体の11.1%、次に多かったのがコロナ関連で6.6%と続き、プレゼンにおいては大臣からも活発な意見をいただきました。
縦割り110番に寄せられた意見についてツールを使って分析した結果、マイナンバー活用方法、新型コロナ関連施策、行政や自治体の証明書等の手続き、税金関連、学校教育が多いことが判明。 これらが優先的に改善すべき項目であると、明らかになりました。
ツールごとに機能やサービス内容が様々あるテキストマイニングツール。トライアル版を出しており、アンケートやリサーチから依頼ができるツール3つを紹介いたします。
※Google検索「テキストマイニングツール」の上位16社(2022年10月時点)の中から選定。